消費税の簡易課税適用届出を出していても、
基準期間の課税売上高が5千万円を超えている場合には、
簡易課税は適用されず、強制的に原則通りの課税方法となります。

■消費税の計算方法は選択可能

消費税は原則、前々事業年度の課税売上高が1千万円を超えている場合に納税義務が発生します。

税法の言葉で言うと「課税事業者」というカテゴリーになります。

1千万円を超えているので消費税を収める義務はあるものの、5千万円以下である場合、
税務署に届出書を提出することで、簡易課税制度と呼ばれる計算方法を選択することができます。

■簡単にに計算できる、簡易課税制度

通常、消費税の計算方法は、かなりざっくりいうと

預かった消費税ー支払った消費税

というふうに算出しますが、

簡易課税制度を選択した場合、
この差し引く「支払った消費税」の金額を、
預かった消費税×一定割合により算出して使うことができます。

この一定割合は業種によって決まっており、
例えば卸売業だったら90%、製造業だったら80%と
消費税法で定められています。

売上にかかる消費税(=預かった消費税)さえ集計できれば
消費税の納税額が計算できるため、
計算手間が簡単であることが特徴であることと、

状況によっては、原則的な計算方法により算出した場合よりも
消費税が安くなったりするのです。

■必ず、基準期間の課税売上高は確認する

ただし、この簡易課税制度を選択できるのは、
上記でも書いた通り、基準期間の課税売上高が
5千万円以下であることが条件です。

これが5千万円を超えていると、
例え簡易課税選択にかかる届出書を提出していた場合でも
その年度は原則通りの課税方法になります。

これを、簡易課税が適用になると勘違いして
消費税申告書を作成してしまうと、
消費税の計算を誤ってしまうことになってしまいます。

ですので、
消費税申告書を作成するにあたっては、
届出書を提出している場合でも、
基準期間の課税売上高を必ず確認して、それにあった計算方法になっているかどうかを確認しましょう。

消費税は会計ソフトでも簡単に計算できるものではありますが、
そもそもの前提条件(原則か簡易か)が違っていたら
元も子もありません。

基本的なところですが、留意しておきたいところです。