小さな会社の源泉所得税は、全部が全部半年に1回の納付(特例)でOKという
わけではありません。
その対象とならない源泉所得税もあります。
源泉所得税の納期の特例とは
何かを支払う際、支払サイドで源泉徴収義務が発生するものについて、
徴収した源泉所得税は、
原則、その支払をした日の属する月の翌月10日が納付の期限となります。
しかし、従業員が常時10人未満であるような規模の小さい会社などにおいては、
税務署に届出をすることで、
その徴収した源泉所得税を
毎月10日に納付ではなく、
7/10と1/20の年2回、半年に一度まとめて納付をすることが可能です。
これを源泉所得税の納期の特例と呼びます。
税理士は、これを略して「納特(のうとく)」と言ったりします。
もしあなたの顧問税理士が「ノートク、ノートク」などと謎の言葉を発していたら
それは間違いなくこのことを指しています
(わたしはお客様に対してはノートクという言葉は使いません)
ちなみに、法人にはすべて源泉徴収義務がありますが、個人事業主は
義務のある人ない人がいます。
この特例が有効になるのは、
税務署に届出書を出した月の翌々月10日納付分からとなります
(提出月の翌月末に承認される、という規定)
例えば、4月中に届出書を出したとすると、
4月中払いの給与の源泉所得税→5/10が納期限
5月、6月中払いの給与の源泉所得税→特例が適用になり7/10が納期限
というような、提出月から一月ズレて有効になるというのが特徴です。
届出書を出した月分の源泉税は特例がきかず、原則どおり
翌月10日が納期限となるので気をつけましょう。
いろんなものから取られる、源泉所得税
支払う際・受け取る際に源泉所得税が徴収されるものは多岐にわたります。
一番メジャーなものは給与や賞与、株を保有していれば配当金。
年金を受け取ることになれば年金にも。
報酬・料金にも源泉徴収が必要なものが多数規定されています。
雑誌に寄稿して受け取れる原稿料や、講演を行って受け取れる講演料。
グラフィックデザイナーやカメラマン、スポーツのコーチに対する報酬。
変わったものだと、プロボクサーのファイトマネーやホステスがもらう報酬なんかも
源泉徴収対象です。実際に見たことはありませんが…
(気になる方は、「源泉徴収のあらまし」でググってみてください)
わたしのような税理士・公認会計士や、弁護士、司法書士の報酬も
支払う側において源泉徴収義務が発生するものになります。
半年ごと納付(特例)→給与と賞与と退職金と士業報酬の源泉だけ。他は翌月10日。
一番最初の話に戻りますが、
すべての源泉所得税が
納期の特例を使える=半年分まとめ払いOKな源泉税
ではありません。
この特例が使えるのは、
・給与
・賞与
・退職金
・税理士、会計士、弁護士などの士業報酬
だけです。
それ以外の源泉所得税は、その元となった報酬等を払った日の属する月の
翌月10日までに納付をする必要があります。
納期の特例の届出を出している→源泉税の支払いは半年に1回で良いんだ!
というアタマだと、
納付漏れになってしまうので、ここは注意が必要です。
規模の小さい会社では、ほぼ100%の確率で納期の特例を受けていると思います。
自社の支払先に源泉徴収を要するものがあるかどうかをまず確認し、
給与や士業報酬以外のものがあれば要注意です。