法人の事業税の項目である外形標準課税の付加価値割で使う報酬給与の金額と、事業所税で使う従業者割の給与額の金額は微妙に範囲が異なります。
■支払った給与額をベースに課税される
外形標準課税は、資本金1億円超の法人が対象となる事業税で、付加価値割と資本割があります。
付加価値割は、所得に報酬給与、利子、賃借料などを足したものに税率を掛けて算出し、
資本割は、資本金等の金額に税率を掛けて算出します。
一方事業所税は、事業所の面積に対して税率を掛けて算出する資産割と、従業者割の給与に税率を掛けて算出する従業者割を合計したものを支払います。
事業税の付加価値割、事業所税の従業者割、どちらも、支払った給与に対して税金がかかるものになっています。
■対象とする範囲が少し異なる
ただ、両者では対象とする給与の範囲に多少の差があります。
一つは、障がい者若しくは65歳以上の高齢者に対する給与です。
付加価値割の計算においては報酬給与の金額に含めるため税金がかかりますが、
従業者割の計算の際には、この部分については非課税の扱いとなります。
もう一つは、税金計算上費用として認められない(損金不算入と言います)給与の扱いです。
付加価値割の計算においては、損金算入の要件を満たさない役員賞与などの損金不算入の給与については、
報酬給与の金額には含まれないこととなり、このぶんについては税金がかかりません。
一方で事業所税の従業者割においては、そのように損金不算入のものを対象外とする規定はなく、
その役員賞与が損金不算入であっても、給与として課税(=支払いの際に源泉徴収している)ものであれば、給与の額に含まれ、税金がかかります。
■内訳がわかるように集計が必要
このように、ややこしい限りですが、両者で対象とする給与の範囲が異なっているので、
実際に、税金計算のため給与の集計をする際には、これらの内訳がわかるようにしておく必要があります。
同じ地方税なんだから同じにしてくれれば計算が楽なんですけどね(^_^;)